ピアノコンクール

2月に1度はピアノコンサートに行くようにしている。

このことは以前にも書いていたっけ。

 

7月に出掛けたから、予定としては今月となっている。

ところが忙しくてチケット情報を上手くサーベイ出来ない。

 

適当なコンサートも見当たらず、あってもチケットは買えずで、思案に暮れていたところ、遠方だが、丁度9月にピアノコンクールがあるとの便りがあった。

 

他に法も無いから、この話に乗ることにした。

行ってみた。

 

各地で予選はあるものの、全体としては大きな発表会といった風情であった。

幼時から大人まで、30組弱が課題曲と自由曲を弾く。

 

全ての発表が終わったのち、会を主宰する先生から寸評があった。

外見からの印象は優しそうで、声も柔らかい感じなのに、先生は、なかなかに手厳しい意見であった。お褒めの言葉というのは、僅かにあったかどうか。

 

小さな子供であっても、見る目はプロの目そのものだ。

それだけ真剣に演奏に向き合っているということだろう。

そして、それだけこれからのピアニストの成長を期待しているということか。

 

さて、この会には、聴衆賞というものが設定されていた。

自分が投じた一票は、小学校4~6年生のクラスとなるある女の子に対してのもの。

 

その子のピアノは、まるでプロのピアニストのように、指が全く動いていないように見えるのにもかかわらず、音が実に力強く出て来るのだ。

他の演奏者に比べても、音色が断然太い。抜きん出ている。

 

スタインウェイは音の響きが良いけれど、上手く弾かないと、中音が濁って歪んで聴こえてしまう。自分にはそのように耳に響く。

 

ところが、その子のピアノの音にはそういう神経質なところが無かった。

音色が太くて濁りなく、音は真っ黒に澄んでいた。

 

だから一票を投じたのだ。

が、残念だが、選ばれたのは他の演奏者である。

 

さて、全体の印象を書いておこう。

言うまでもないが、誰もがこの自分よりもピアノの演奏能力は優れている。

 

でも、自分が感じたのは、そういった能力差についてでは無くて、皆が各々の個性を持っていて、自分なりのスタイルでピアノ演奏を行っていることであった。

 

下手上手いにかかわらず、思い思いの形で、それぞれが一生懸命取り組んでいるというところ、それがその日の演奏という結果から垣間見えた、ということが大変に良かった。

 

プロの演奏家の公演も、学ぶところが多くて良いのだが、こうしたピアノの勉強をしている人たちの演奏を聴くのも、これはこれでまた良いものだ。

大いに刺激になるし、そして色々と共感できるものもある。

 

むしろプロのコンサートよりも良いかもしれない。

機会があれば積極的にコンクールの聴衆として出掛けてみよう。

 

丁度、来年の同じ頃に同様のプログラムが組まれているということだ。

来季の遠征は決まったようなものだ。

 

その頃までには、もう少しピアノが上手く弾けるようになっていなければ。

 

でも、これ以上の進歩があるなんて、今の自分からは少しも想像は出来ないのだが。

さて、どうだろう。